プロフィール
1983年千葉県松戸市生まれ。高校卒業後、華学園栄養専門学校に入学。卒業後、栄養士として千葉県内の市立病院に勤務。5年間病院食の献立作成や栄養管理に携わる。’08年より東京都文京区立青柳小学校に勤務。’12年には第7回全国学校給食甲子園にて東京都代表に選出。翌年の第8回大会では参加した2266校の中から全国優勝。同年、文京区学校給食優良校にも指定される。現在の目標は「全校児童全員の食べ残しをゼロにすること」。
郷土料理を取り入れた学校給食を競う「学校給食甲子園」で男性初の全国優勝を果たした東京都文京区立青柳小学校の栄養士、松丸奨先生。「子どもたちに喜んでもらえる給食」を目指し、江戸東京野菜を献立に取り入れた新しい給食を実践している栄養士です。そんな松丸先生が栄養士になったきっかけは、なんと「野菜嫌いだったから」。そのご自身の背景や野菜をおいしく食べる方法など、野菜を通じた食育についてお話を伺いました。
栄養士の先生のひと言が、野菜嫌いを変えた!
- 現在、江戸東京野菜を献立に取り入れるなど、新しい給食を実践している松丸先生ですが、実は小さい頃「野菜嫌いだった」のだとか。
- 小学校1、2年の頃まで食事の好き嫌いが本当に多くて。特にトマトとレタス、キュウリはにおい、味、すべてがダメでした。そういう好き嫌いのせいで、当時は体も弱く、体重も身長も小さい方だったんです。
もちろん給食なんて全部は食べられません。そういう状況を担任の先生が見ていて、あるとき、栄養士の先生のところに連れていってくれたんです。そのとき、栄養士の先生から、「ひと口でいいから食べてみよう」と言われて。「全部食べなくていいから、ゆっくり食べよう。このご飯は、君のためになるものしか入ってないんだよ」と。
そう言われて、ゆっくり給食を食べるようになったら、少しずつ嫌いなものでも食べられるようになったんです。すると、体があっという間に大きくなっていって(笑)。背もぐんぐん伸びていったし、今までできなかった逆上がりや二重跳びもできるようになったんです。そのときに、「給食ってすごい」って心から思って。
- ということは、栄養士のお仕事をされるようになったのは、小学生のときの好き嫌いがきっかけ?
- もちろん、小学校のときはそこまで栄養士になりたいとは思っていませんでした。ただ単に「給食が大好き!」という感じだったんです。でも、高校生になって将来の進路を決める時期に、担任の先生から「自分の一番好きなものになったほうがいい」とアドバイスされて。その言葉を受けて、一番好きなものって何だろう?と考えたら、給食だったんですよね(笑)。それで、給食に関わる仕事をしようと思ったんです。